厚生労働省は雇用保険制度の改正に向けた報告書をまとめました。
雇用保険法など関連法を改正し、2024年度以降に順次実施します。
主な改正
「専門実践教育訓練給付」を拡充
成長分野への労働移動を促すため、リスキリングを対象にした給付を拡充し、個人への助成率を現在の最大7割から8割に引き上げます。
IT関連や看護師など専門資格の学習を想定し、受講後に賃金が上がった場合は1割上乗せします。
失業手当の給付制限の緩和
給付制限は転職の妨げになると指摘されていました。
自己都合の離職でリスキリングをしていれば会社都合と同じ7日程度で受給できるようにします。その他の事由も支給までの期間を1か月ほどに早めます。
育休給付の柔軟な運用
両親ともに育休を取得すれば、28日間は育休給付で手取りが減らないようにします。
(現在は最大でも手取りの8割程度)
育児時短就業給付の新設
時短勤務で減る収入を補塡する「育児時短就業給付」を新設します。
2歳未満の子供がいる場合に賃金の1割が補助されます。
雇用保険対象者の拡大
28年度には被保険者の労働基準を週10時間以上とこれまでの半分に下げて対象者を広げます。
これにより500万人が追加で育休給付などを受けられる見込みです。
保険料率の引き上げは…
育休給付は男性の取得増加によって、関連支出が27年度に1兆円を超える見通しです。
財源確保のため育休給付に関する保険料率を0.4%から原則0.5%に引き上げます。
当面は料率が据え置かれる見込みです。
国庫負担割合は24年度に「80分の1」から「8分の1」に上げます。
報告書には、保険料率の引き上げは「事業主や労働者に影響を与えることも十分に認識する」とあります。
人口や出生数など財政以外の動向も保険料率を決める際に考慮するようです。
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